連載小説
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毒キノコ?食べる!
 「まさかこれって、さっき宝ヶ池で取ってきたキノコ?」「そうよ、美味しいんだから!」
 裏がスポンジ状のこんなキノコ見た事ない私が、とても食べる気になどなる訳がない。
 「いいよ、辞めとくよ!だって毒キノコって、3日苦しんだあげくに死ぬんだよ!」・・・
 「山さんったら、アグネシュカの事信じてないのね!」「そういう問題じゃないんだよ!死んでしまうかもしれない!」
 ・・・だけどなんでアグネシュカはこのキノコの事を知っているんだろうか?アグネシュカに直接聞くのも方法だが、彼女の記憶にない過去への質問は、最悪混乱した彼女のシステムに「フリーズ」を起こす危険性があるからだ。
 やっぱり何かのきっかけで、消し忘れたマイクロフリーズからの情報が溶け出しているのか?
 製造後の記憶情報は完全に消去されているが、その前に入力された知識が漏れ出しているのか?と言うことは、経験で覚えた訳じゃないので意外と大丈夫かも?
 などと考えていた時、アグネシュカの最終攻撃の言葉「信じてくれないなんて、私の方が死にたい!」
 こんなに気の強い女だったのか?そう言えばいつも、優しい女性と付き合い始めるのに、だんだんと気の強い女に変わっていったのは、自分のせいだったのかも知れない。
 こうなったらもう、この場で食べるしかないかっ!どうせもう思い残す事もないし、アグネシュカの信頼を失うのなら同じ事だから・・。
 「食べるよ!アグネシュカ!」恐るおそる食べ始めた私は、とても味わう余裕などなかったが次の瞬間・・「旨いねぇ〜!美味しいよ、アグネシュカ!」「でしょ〜、だから美味しいって言ったじゃないの!」・・・
 確かにすごく美味しかったが1時間後に苦しみが始まるかもしれない?
 「よしっ!お酒、飲も飲もう!」これが人生最期になるかも・・・
10/12/08 19:49更新 / アンバー
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■作者メッセージ
後で調べたら、ヌメリイグチという癖のないキノコだった。

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まろやか投稿小説 Ver1.53c