連載小説
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恵美ちゃんも、涙する?
 「ところで轟、恵美ちゃんは泣いたことあるの?」「見た事ないなぁー、それにそんな場面もなかったし・・」「テレビとかも?」「ないなぁ。」
 直接聞いてみよう、「恵美ちゃん、涙流した事ある?」「分からない・・。」
 「笑った事はあるよね、アグネシュカも時々笑うけど、涙流して笑えるような機会もまだないし。」「どうやったら、涙流して笑えるかな?」
 やっぱりアレしかないなと、2人同時にお馬鹿な昔を思い出した。
 「悪いけど2人共、ちょっと後ろ向いててくれる?」急いで丸裸になった僕たちは、左手で左右の胸の贅肉を集め、右肘で頭を支えて横になった。大事なものは股に挟んで後ろに廻し、目一杯のセクシーなポーズをとった。
 「もういいよ〜。」轟と声を合わせて!「女子高生ー!!」・・・・恵美ちゃんとアグネシュカはきょとんとして互いの顔を見合ったが、まるでうけていなかった。
 まいったな笑うどころか、しらけた雰囲気。もう奥の手しかない!「二人共もう一回後ろ向いて。」今度はごろんと反対向いて股のキャン玉が見えるようにぐったり寝そべった。
 「リーリーリ〜リリリ〜リリ〜、リオンマウェイ〜、いいよ振り向いて!・・ライオンは寝ている!!!」・・・あれ?笑わない!こんな馬鹿な事したのに最悪だ。
 「ごめんね〜・・・」ばつ悪く急いで服を着た2人は次の手を考えた。
 「やっぱり涙流して笑わせるのは無理だよ、普通にやろう。」と言いながら私はネット配信の映画リストを探した。
 「あ、これにしよう。」彼女等にはちょっと悲し過ぎるかも知れないが、これで絶対泣くはずだ。「A.I.だ」40年前のワーナー映画だが全ての映画は3D処理され迫力の立体画像で見れるのだ。
 「さーっ、始まるぞ・・・」
・・・・・・・・・・・・・
 映画が終わった時、恵美ちゃん、アグネシュカをはじめ、なんと僕達4人は全員ぐしゃぐしゃに泣いていたのだ。
 こうして彼女等は悲しい時涙を流すことが証明できたが、少し後味の悪いような悲しい雰囲気がその場に残った。
 その時、実にいいタイミングで轟が長〜いおならをした「プ〜〜〜ピ〜、プププ、ブリッ!」・・・
 「わっはっはッ、わっはっはッ、も〜う、轟さんったら最低〜!」と言いながらアグネシュカと恵美ちゃんの目を見ると、確かに2人共涙を拭いながら、思いっ切り笑い転げていたのだった。
10/11/12 11:23更新 / アンバー
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■作者メッセージ
よかったね、笑い涙も流せて。

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まろやか投稿小説 Ver1.53c