連載小説
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轟も、そうだった。
 「はーい」と言ってドアを開けるとそこにいたのは、なんとあのスケベな轟だった。白髪混じりの口ひげはやはり往年のスケベそももの感だ。
 「なんだ、まだ生きてたんだ!いや〜久しぶりだな〜」と声をかけた横には、20代後半か?とても綺麗な女性を連れていた。
 「恵美ちゃんで〜す!」相変わらず軽い男だ。
 そう言えば50年程前にも恵美ちゃんという彼女と20年位付き合っていたはずだが?どういう関係なんだろう。
 「今、付き合ってる彼女で〜す!」確か2つ下の轟にこんなに美しい彼女?とても信じられなかったが、その矛先はこちらに向いた。
 「山さんこそその女性は?」「アグネシュカ、もちろん彼女だよ、とても愛している!」
 部屋の中を眺め、窓の光格子ガラスに気付いた轟は「やっぱり山さんもそうなんだ!」「どういうこと?」「そういうこと!」轟の彼女もヒューマノイドであることは彼の表情から読み取れた。
 「じゃなんで外に連れ出したの?」「違法だけど罰則規定がないからね。」あ、そうなんだ、さすが無法者の轟だなと妙に感心した。
 「2人に聞かれるとまずいんじゃないの!」「なんで?」「だってアグネシュカは自分の事を人間だと思ってるみたいだし・・」
 「そんな事ある訳ないじゃん!だって山さんだけ食事するの変でしょ?」そう言われればそうだし、「なるべく違和感が生じないようにそのように振る舞っているだけでしょ。」
 「気にしなくてもいいけど、人間と同じ扱いの方がお互いもっと仲良くなれるみたいよ。」
 なるほどなぁ〜、PCもそうだが、やはり先輩に聞くのが一番早道だな。本当に轟がいてくれてよかった。過去に彼とは3兄弟だったが、常に私の方が後だったのを変に思い出した。
 「じゃーなんで外に連れ出しちゃ駄目なの?」「JHCで習ったと思うけど、彼女たちは僕らのごく微量な脳波を常に感知してるから、僕らが寝ると5分以内に一緒に寝るし、起きれば1分で目が覚め2分で正常に動作する。」
 「だからもしもの時は、すぐに緊急モードで119番通報してくれる。」
 「もし外に出て脳波距離以上に離れて、5分以内に見つけ出さないとその場で眠ってしまう。」
 「また皮膚も人のように再生しないから、外に出ると危険性が増し傷つけると大変だからね。安全と犯罪面からの配慮みたい。」
 ところで山さんはアグネシュカといつから?」「今日がまだ2日目だよ。」「え〜!・・・僕はもう1年半位かな?」
 「そう・・・じゃ、後でスワッピングする?」
10/11/10 11:50更新 / アンバー
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■作者メッセージ
後で、スワッピング?

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まろやか投稿小説 Ver1.53c