連載小説
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初めての、手料理。
 朝から私は、通常利用するだろう電化製品の全ての使用方法を教えてまわった。テレビ・洗濯機・PC・・・さすがにアグネシュカの理解は早く、2度同じ説明する必要はなかった。
 JHCの説明では、通常ヒューマノイドの記憶は5段階に分け処理されているらしい。
 勝手に見えてしまった風景などは1時間、その中で特徴のあるものは1日、意識して見たものは一週間、覚えた方がよさそうなものは1年、忘れてはならない重要なことや、忘れたくないことは一生覚えているのだ。
 それぞれの段階に応じて、記憶整理、圧縮、凍結、マイクロフリーズという段階で瞬時に処理しているらしい。
 覚える意思での記憶は決して消えないが、人間と同じく古い記憶は思い出すのに少々時間がかかる。
 この頃全ての家は通常オール電化だが、アグネシュカは赤外線を出さないタイプなので、他の便利なロボットのように、家電のリモコン操作はできない。
 大体そんな事をされたらしらけた、中途半端なヒューマノイドになってしまうのは明白だ。
 さっそく今日の昼食は実際に彼女の能力を試すべく、簡単なトーストと目玉焼きを作るようにお願いしてみた。
 その前にアグネシュカには、新婚のようにフリルの着いた可愛いエプロンを着けてもらったが、下は素肌だ!そう言えばかなり昔にもこんな記憶が・・・?
 だが、足の長いアグネシュカには踏み台でもなければとても後ろから届きそうもなかったのだ。
 さすがの私もすでにそんな年ではなかったが、眺めるだけでもやはり興奮してくるのはやはり現役の証拠だ。
 いくらなんでも昼間っからこの後姿ではかなり刺激的すぎるし、またもしかしてアグネシュカのスイチが入ってしまう前に、儀式?のエプロン姿から普通のミニスカートに着替えさせなければ・・・。
 幸い出来上がったトーストの焼き加減や目玉焼きも、ちょうど私の好みピッタリで十分に満足のいくものだった。
 さして面白くもないテレビを見ながら紅茶を片手にふと思うと、セックスには会話は不要だが、二人にはまだ共通の話題がなく、どうも話に詰まりがちになっているのだった。
 そんな時チャイムが鳴った「ピンポ〜ン!」壁のモニターに映された男の顔には見覚えがあった・・・。
10/11/09 18:58更新 / アンバー
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■作者メッセージ
もしかして、あのスケベの?

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まろやか投稿小説 Ver1.53c