連載小説
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アグネシュカの、ルーツ。
 そう言えばアグネスでなくアグネシュカというのは、おそらく旧東欧に多い名前だ。
 ところでプログラム以上にセックス慣れしてるのは何故なんだろう?
 気になる私は別件でのついでを装いJHCに問い合わせてみると、担当者の驚くべきその回答はこうだった。
 当時アジアでのリーダーシップに嫌気がさしていた日本は、旧東欧でもきわめて親米自由主義国のポーランドに目を付けていた。
 2030年の「婚外妊娠法」により、逆に人口が今や1億2000万人を軽く突破している現状。まさか月に行くわけにもいかず、国中平坦でまだ余裕のあるポーランド大移住計画を密かにもくろんでいたのだ。
 くしくも2年前、当時の大統領ワレサ3世訪日に合わせて政府は一大秘密プレゼントを計画していた。
 彼のセックススキャンダルは国際的にも有名で、その大統領にど肝を抜かせるサプライズだったのだ。
 比較的長身の彼好みは、何故かいつも小柄なボインだ。これに対応するアグネシュカは、いわゆる48手はもとより、考えられるテクニックは全てこなせるようプログラムされていた。
 来日し、シェラトンのスイートでの極秘初体験に関係者は期待をよせていたが、しかし結果はノーだった。
 ワレサ3世のアレは、お粗末な日本人の想像最大サイズをはるかに越えるモノだったからだ。
 かくしてアグネシュカ作戦はみごと失敗し、その結果彼のスキャンダルはさらに続く事になり、日本との移住交渉も不調に終わったのだった。
 そんないきさつのアグネシュカに罪はもちろんないが、かわいそうにそのままお蔵入りにされ、唯一の白人ヒューマノイドとなったのだ。
 国内需要に追いつかない現状でそれ以上の白人はコスト面からも作られていない、と言うJHCの秘密だった。
 初期化はされていたものの、マイクロフリーズはほったらかしだった為、時々異常にリンクされた時、その廻りの1部が解凍し過去が染み出るようだ。
 そう言えば最初に少々難ありだと言われたのはその事なのか?まあいいや、大した事でもないし、おかげでアグネシュカはまだ処女だった訳だから・・・。
 なんだそれなら昨夜、もっと頑張っとけばよかったのになぁー・・・。
10/10/30 20:18更新 / アンバー
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■作者メッセージ
そうか!そうだったのか。

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まろやか投稿小説 Ver1.53c