連載小説
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なっ、なんで!
 2人の弟を持つ母子家庭の美智子は、高校を卒業するとすぐに就職した。化粧品の美容部員になりたがっていたのに、身長が少し足らず、結局東京トヨペットに入社した。
 一方そのころ、僕は学生生活を思う存分に満喫し、やれテニスだ、スキーだ、あげくの果てにはロックバンドまで結成していた。思えばこの頃から2人の記憶より、圧倒的に大学の仲間との楽しい思い出の方が多いのだ。日曜日しか会えないのに、僕はバンド仲間の家にみんなで泊まる事が多かった。
 大学から社会人にかけてのバンド活動は最高に面白かったが、これはまたの機会に是非お話ししましょう!
 そんなこんなで昭和50年、工学部工業化学科を卒業した僕は、親のコネでエスエス製薬に入社した。千葉の房総を担当していたので、東京にいるのは月に僅か数日。ますます、美智子との接点が希薄になっていった。
 しかし、入社2年目24歳になった頃、もう7年以上付き合ってるし、そろそろ結婚するか!美智子もとても喜んでくれ、早速兄貴の時と同じ、京王プラザホテルに予約を入れた。あと半年の間に、休みの少ない中、やることがいっぱいだ。衣装合わせに名簿作り・・・。
 月に2回、東京に帰れるある土曜日、美智子を驚かそうと彼女の退社時間に合わせ早めに戻り、表参道営業所の前で少し隠れて待っていた。美智子は2人で買ったお気に入り、セリカ2000GTLBを仕事に使っていた。
 すると、その車に見知らぬ男が乗り込むではないか!続けて美智子も乗り、僕はまるで探偵にでもなったかのように、2人が乗った車を見失わないよう慎重に後をつけていった。
 たどり着いたのは、碑文谷警察のすぐ隣のマンションの駐車場。あっ、そうか、車庫証明を取りに来たんだな・・・。
 しかし、決してそうではない事が、時間とともに証明されていくのだ!
10/09/05 10:09更新 / アンバー
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■作者メッセージ
え〜っ、この先どうなったの?

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まろやか投稿小説 Ver1.53c