連載小説
[TOP][目次]
修羅場
 そして1時間が過ぎ、2時間も過ぎた。僕は出てこないあらゆる良い方の場面を想像したが、4時間を過ぎた時、ついに思った。「もう、今日は絶対に出てこない。」
 急いで家に帰った僕は、車の合鍵を持ってすぐに戻った。まだいるなっ、どうしよう?とっさに何を考えたのか、僕はとりあえず車が使えないようにと、ディストリビューターのローターを抜いて一旦帰った。が、しかし朝までとても寝れる精神状態ではなかった。
 始発で戻ったマンションには美智子と買った愛車がそのままだ。このまま待っていても嫌な場面に遭遇するだけと思い、ローターを戻してセリカに乗って帰った。車の場所には小さな張り紙を残した、「連絡待ってる、OO」。
 こんな連絡、する方もされる方も地獄だが、その電話はすぐにかかってきた。
「3人で話したい。」・・・そして、1時間後・・・美智子は彼の方の横にくっついて座った。怒りではなく3人で会ってる自分が、気まずい気分になったのは何故だろう?
 なまじな遊びだったら、ぶん殴ってやる!そう思った矢先、彼から意外な言葉が出た 「・・・結婚したい」。
 え〜・・・言葉を失った僕は「いつから付き合ってるんだ。」と聞くと「えーと、1年半くらい前か・・」ガビィ〜ン!!!なんじゃ、こりゃ〜!1年半も僕を騙し続けていたのか?僕との結婚はどうするつもりだったの?
 沈黙の中、心の中で叫ンだが、この場での別れをすでに決めていた僕には、それ以上何を聞いてもお互い気分が悪いだけだ。
 「せめて、セリカは貴方が使ってね、ごめんなさい!」不謹慎にも少し得した気持ちで、彼の言葉が嘘でなく美智子と本当に結婚するのを祈りながら、僕はあてもなく運転し続けた。
10/09/05 12:36更新 / アンバー
前へ 次へ

■作者メッセージ
7年半目に分かれた僕はこの後なんと、7キロ半痩せたのだった。本当です!

TOP | 目次



まろやか投稿小説 Ver1.53c