連載小説
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結果、初めてのナンパ
 高校1年の夏、軽免許制度がなくなった僕は16才になってすぐ、自動二輪の免許を取っていた。当時の試験は、すでにあまり見かけないラビット250だった。取得後、上野の線路脇にあるバイク街で父に買ってもらったのは、最新型、ホンダCB250エキスポートだ。今までの黒ばっかりでなく、赤と白のストライプは精悍だ。10,000rpmまでのタコメーターもバッチリ装備されている。
 夏休みのある暑い日、撫男で大人びた顔の半井(なからい)君を後ろに乗せ、浜田山のSEIYUにソフトクリームを食べに行った。すでにガキから男に目覚めた僕は、やや突っ張って、ジーパンにエンジのカーデガン、メガネはかっこ悪いので度つきのサングラスをかけていた。
 ソフトをなめていると「いいなぁ〜バイク!私も免許取りたいなぁ〜。」すかさず僕は「じゃ、今度免許の本持ってきてあげるよっ」と何故かとっさにすらすらと返事がでた。知らない女の子と初めて会話したような気がした。半井君をおろした後、次の展開がうれしくてうきうきしていた。今日またじゃ軽そうだから、明日持っていこっ!短い会話だったけど、なんだかいけそうな気がする〜・・・。
 そして次の日、「ほら、本持ってきてあげたよ」つかさず「今度、乗っけてあげようか?」どきどきしながらも慣れたような口調で軽く言った。「え〜っ、ほんとにいいの?」・・・かくて、約束の日に向け僕はいろんな作戦を考えた。その日の日記帳はまたまた分厚いページになったが、ノリで封印するようなことはなかった。
10/09/04 12:12更新 / アンバー
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■作者メッセージ
いよいよ、初めてのデート。どうなる?

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まろやか投稿小説 Ver1.53c