連載小説
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ヒューマノイドの開発?
 2030年ついに日本の人口は8,000万人を下回った。3年前に起こった鳥豚インフルエンザが、爆発的に人へと感染し始めたからだった。さらに追い討ちをかけたのが、鬼嫁の常態化と草食男子の蔓延による結婚アレルギーだった。
 満を持した政府はついにこの年「婚外妊娠法」を制定し、結婚と妊娠の考え方を完全に切り離したのだ。
 かなりいろいろな反対活動もあったが、これにより少なくとも子供を生みたい健全な女性は、誰でも自分の子孫を残す事ができるようになった。
 医療と教育はすべて無料となり、出産費用も一切かからない上、能力のある者はお金の心配なく、自分に適した大学にも行けるようになった。
 精子提供は大きく10の分野に分けられ、それぞれエキスパートの自発的若者から採取されていた。
 消費税は福祉税となり、22%にまで急激に跳ね上がったが、この由々しき事態に世論もあっさり認めるしか他に方法がなかったのだ。
 それからの10年間は、これまで歴史上類を見ない激しい妊娠ラッシュで、人口は急激な増加に転じ、ついに9,000万人の大台を超えたのだった。
 しかし女性はわがままな生き物で、病院での事務的な人口受精ではく、ヒューマノイドによる自宅での精子提供を望みだしたのだ。
 もちろんこの事は、ますます結婚できなくなった草食男子にも言えていた。若い彼らの性欲は、決して急に衰える訳ではないからだ。
 必然的に急遽開発に力を注いだのがのが、今のヒューマノイドだ。
 かねてよりロボット技術に定評のある日本は、これ以上消費税を上げないためにも、国を挙げて一気に世界的シェアーを狙っていた。
 思えば南極観測船で大活躍した「南極1号」から何年経つのだろうか、くしくも最高級ダッチワイフとも言えるヒューマノイドの開発が本格的に始まっていくのだった。
 
 
10/09/29 10:47更新 / アンバー
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■作者メッセージ
今の僕にも、欲しいなぁ〜。

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まろやか投稿小説 Ver1.53c