連載小説
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笹塚マンション、ありがとう!
 1987年5月、過去の女性と流したさまざまな浮世と共に、笹塚マンションを手放した。
 約9年前、善ちゃんとの結婚時に1860万で買ったものだが、バブル真っ只中、なんと5700万で売れたのだ。
 数十万はせめてもの日頃の罪滅ぼしに、和世との海外旅行に使ったが、もともと父に買ってもらったものだから、4000万は父に預けた。
 そのお金で父は資本金2000万の(株)OO企画を設立した。商品取引の基幹投資家に億単位で融資をしていた。父は10年程前になくなったが、名前も内容も変えて、今も僕が会社を引き継いでいる。
 マンションがなくなった僕は、たまたま空いていた和世のお父さん所有のマンションに、ただで住ませてもらう事になった。頑固なお父様は、お金を一切受け取らなかったからだ。
 300坪の文京の同じ土地には、両親とお兄さんが住む母屋があった。お父様は医者で、両親の祖父母は共に紳士録に乗るほどの名門家族だった。
 和世との結婚式にも、元県知事の祖父が出席し、実家では代々OOトヨペットの社用車として、最新の車を常に使用していた。
 ここで生まれた和世は、結婚のきっかけを作ってしまった嶋君のいとこ道弘をはじめ、幼馴染が大勢いた。
 しかし、そんな環境下においても、僕の病気は進行を止める事はなかった。
 そして次のターゲットに選んだのは、事もあろうに販売事務所の壬生沢(みぶさわ)さんだった。
10/09/16 19:08更新 / アンバー
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■作者メッセージ
いよいよ、来たかぁ〜。

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まろやか投稿小説 Ver1.53c