連載小説
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どこまで、アホやねん!
 和世との結婚を決意したものの、まゆみはどうしよう?中途半端な僕は、事もあろうに和世に告白するまでの間、前より頻繁にまゆみのアパートを訪れていた。
 駅前の居酒屋「スズメのお宿」で軽く酔った僕たちは、いつものようにまゆみの部屋でくつろいだ。「何持ってきたの?」別になんの記念日でもなかったが、前から買ってあげたかったヤマハのキーボードだ。
 場所ふさぎのアップライトピアノは、以前の引越しの際に、すでに実家に戻していたからだ。
 僕たちはどちらも大の音楽好き、コードしか弾けない僕の左手と、メロディーを奏でるまゆみの右手は、初見とは思えない見事な連弾だった。今でもしっかり覚えている曲は「スティングのテーマ」だ。
 しかし、いつまでもこんな怠惰な生活を続ける訳にもいかず、ついに僕は決断した。明日、和世と結婚の話をしよう!
 次の定休日、いつものように和世が僕のマンションにやって来た。少し戸惑ったが、僕は一気に和世との結婚の決意を話し始めた。が、まゆみの事がどうしても頭からはなれなかった。
 さすがの僕も、この時はなんのサプライズも出来ず、それどころかこう言い出した。「実は他に付き合ってた子がいるから、話をつけてくる。」まさにとんでもない逆サプライズだ。とっさに出た自分の言葉に自身も驚いたが、振り返る事もせず、僕はまゆみの家に向かった。
 心のどこかで、まゆみが泣き叫んで取り乱し、「私と結婚して〜!」を変に期待したが、気立てのいいタリンコ?のまゆみは、言われるままにあっさり承諾した。
 決して若気の至りではすまない年だったが非情にも、持ち上げたまゆみを思いっきり谷底に投げ落としたのでしたのだ。ごめんねっ!まゆみ〜!ごめん!!! ・・・・
 まゆみと完全に離れた僕は、まるで何事もなかったかのように、そのあと3ヶ月でニ度目の結婚式を盛大にあげた。
10/09/15 11:09更新 / アンバー
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■作者メッセージ
自分でも嫌になる!・・・はいっ。

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まろやか投稿小説 Ver1.53c