連載小説
[TOP][目次]
醜男、醜い僕。
 どんなに盛り上がる愛も恋も、峠を過ぎれば収まっていくのが定め。マンネリになるのは誰もが同じだ。
 ステーキが大好きな人も、毎日だとさすがに飽きる。たまには寿司も食べたいし、ラーメンも捨て難い。たこ焼きも好きだし・・・。いろいろ食べて、やっぱり最後は好きなものの繰り返しになる。食べても美味しく思わないものは二度と食べない。
 僕に残ったのはやっぱり、和世とまゆみだった。善ちゃんと離婚して3年、31才に成った僕はそろそろ2度目の結婚適齢期になっていた。子供が欲しくなってきたからだ。
 いつものように定休日の朝、10時には和世がここに来る。しかし、その日は9時だった。
 ピンポ〜ン、あれ!和世だ!どうしよう!今日はたまたま一緒に過ごしたまゆみが帰るとこだったのに、どうしよう!?
 コンコンッ!鍵は開いたが、幸いにもチェーンはしっかり掛かっていた。
 暫くすると、電話だ。プルルルル・・・、当然でるわけにはいかない。そして、ピンポ〜ン、ピンポンピンポ〜ン、また地獄だ。こんなとこでまゆみと和世を鉢合わせさせる訳にはいかない。
 当時、携帯電話がないのが救いだった。よーし、次だ!公衆電話から掛けてきた時がチャンス!あせって二人はなんとか階段を駆け下り、かろうじて裏口から逃げ出した。
 ドアチェーンを外して出た部屋に、和世がすぐに入ったのは確実だ。人生修羅場は何回でも来るものだ。
 まゆみには和世の事は正直に話してあったが、現実を目の当たりにさせてしまった。
 和世には、そのあと何くわぬ顔で、実際ありうるストーリーを作って、平然と嘘をつき通した。
 結果的に、2人を大いに傷つけてしまった僕は、自己嫌悪で暫くどちらとも会う事が出来なかった。
 そして間もなく、罪悪感に打ちひしがれた僕は、とうとう和世と結婚する事を決意するのだった。
 
 
10/09/14 20:44更新 / アンバー
前へ 次へ

■作者メッセージ
まゆみは、どうなるの!

TOP | 目次



まろやか投稿小説 Ver1.53c