連載小説
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ムッチリに弱いのは、僕だけか。
 池袋西武は、日本橋三越を抜いて、百貨店日本一の売上を誇ってていた。
 その頃はまさに百貨店全盛期で、池店は情報発信基地として、いろんなテレビ局がたびたび取材に訪れていた。
 当然、社員にも同様に勢いがあった。毎晩のように、あちこちの飲み屋で西武の社員が大いに活躍をしていたのだ。
 安い給料で毎晩飲むには、女性のいる高いスナックは禁物だ。それに、弁当持参で、レストランに行くやつはいない。
 僕たちはいつも、日替わりランチ(女性たち)を持って安いカラオケで飲んでいた。酔うと僕は常に、ターゲットに成りそうな女性の隣で、いつの間にかチャッカリ座って飲んでいた。
 その日、他の女の子に誘われて、まゆみも初めて来た。どんなにプロポーションが良くても、社員の制服では分からないものだが、その晩まゆみを見た僕は、いきなり度肝を抜かれた。
 なんとタイトなジーンズのミニスカートからは、パンパンだけどムッチリした僕好みの太ももが・・・。
 僕は、目と口を思いっきり開き、ビックリした顔でまゆみの足を見た後、上を向いて首の後ろをトントンと叩いて、鼻血の出るのを防ぐマネをした。
 白いモヘヤのサマーセーターは、まゆみにとっても似合っていた。
 よく見ると、金糸の混ざった荒い編み目から、今にもはみ出しそうなまゆみの胸が、所々の隙間から見えるではないか!
 まいったなぁ〜、こりゃ早くなんとかしなきゃ!あせった僕はその晩、度を越して飲み過ぎたが、幸いにもあくる朝、しっかりまゆみの電話番号は覚えていた。
 それからの毎晩、こん身込めた電話攻撃により、1人暮らしのまゆみにとって、ただの暇つぶしの電話が僕への興味に変わるのに、そう時間はかからなかった。
 間もない定休日の前日、行き先は秘密に待ち合わせの時間と場所だけを僕はまゆみに教えた。
 8月23日、午前8時20分、上野駅19番線、3号車の付近。時間厳守だからねっ!
10/09/12 18:32更新 / アンバー
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■作者メッセージ
さ〜っ、楽しみだ!

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まろやか投稿小説 Ver1.53c