連載小説
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マメな男にゃ、かなわない!
 思えは、最初の彼女、美智子と結婚した男も、最初の妻、善ちゃんを奪っていったやつも決してイケメンではなかった。
 日本人なら誰でも当たり前だが、付き合い始めでもないのに、毎日愛してるなんて言うやつは、むしろ気持ちが悪いだけだ。
 そんなマンネリ気分の女性に、凝りずにチビチビとマメに迫られたら、たまたまのデートチャンスに出くわすのも、ありかも知れない。僕の場合もそうだった。
 中途入社2年目の春、新入社員を迎えた売り場には、初々しさが漂っていた。年齢的には、もはや中堅どころの僕は、暇さえあれば、売り場のみんなとコミニケーションを取っていた。と言うより、ずばり品定めだ。
 真面目な女性とは、仕事の話で仲良くしたが、全くの対象外だ。ナイフで自分の手首やこっちの腹を刺されるのは、勘弁だからだ。
 比較的いけそうか、社会慣れしてる子とは、冗談まじりに、こちらの軽さをアピールして回った。
 本気でない誘いも、軽い男ならは乗ってくるし、断わられて自身も傷付かなくてすむからだ。そして、いつものように、今度一緒に飲みに行こうねっ!と軽く振っておく、いわばまき餌だ。
 例えば、朝出かけに親と口喧嘩、夕方彼氏とも、電話での言い合い、今日はまっすぐ帰りたくないなぁ〜。なんて時、誰に声を掛けるかといえば、軽くて、楽しそうで絶対に一緒に行ってくれそうな僕が、売り場でウロウロしてれば完璧だ。
 最初のきっかけは、たとえ親が死んでも(冗談)、絶対に断ってはいけない!二つ返事ですぐOK〜!その初めてのデート?で、次の日早く友達に自慢したくなるような事柄を、出来るだけ与えてあげれば、あせらなくとも必ず、次のデートはこっちのペースになるのだ。
 そんな頃、新入社員のまゆみが、部内総回りの研修を終えて、売り場に配属された。早速、売り場で会話をした僕が、まだうぶ過ぎる彼女とまさか、この後の人生で重大なかかわりになっていくとは・・・
10/09/11 21:29更新 / アンバー
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■作者メッセージ
はたして、「飛んで火に入る、春の虫」になるのか?

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まろやか投稿小説 Ver1.53c