連載小説
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普通の結婚生活のはずが・・・
 日本の男は、基本的に亭主関白がDNA的に?あるのかも知れない。どんなにやさしかった男も結婚すると、妻に一生懸命気を使ったり、まして愛してるなどと言っても、お互い気持ち悪いだけか、せいぜい浮気隠しだと思われるのが関の山。
 僕も結婚したからって別に、気も使うわけでもなく変わらなかった。新婚気分は、旅行から帰ってせいぜい1ヶ月。その前に旅行で必ずケンカになるのは、お互いの家族や知り合いへのお土産の事だ。
 そもそも海外旅行は回りに内緒で行かないと、何気なしに頼まれた買い物は、行く人にとっては義務になり、限られた時間とルートに相当な負担になるのだ。
 しかし、新婚旅行はバレバレだから、その任務を果たさないといけない。大して知らない身内のオバサンのお土産を相談されたって、なま返事しか出来ない。お互い負担にイライラしてる中、ケンカが始まるのだ。僕たちの場合もやはりそうだった。
 話はそれたが善子のことは、大阪でみんなが呼んでいた「善ちゃん!」と呼んだ。結婚してすぐ彼女は自分で、家からほど近い絨毯の輸入商社を見つけ就職した。結婚する前も同じ業種で専門知識があったからだ。後から聞いた話だが、善ちゃんは本当は専業主婦になりたかったらしい。
 そんな話も、夫婦で未来の事や大事な会話もなく、週末に僕の実家に行くのが唯一の義務的イベントになっていた。
 うちの父親や母親はあまり社交的な方でなく、今思えば家族全員が黙ってNHKの時代劇を見てるのは、きっと苦痛だったに違いない。ちなみに僕は時代劇は苦手だが、この時間帯は誰もが邪魔できない聖域だった。
 そんなたわいない普通の暮らしに変化が起きたのは、結婚3年目に入った頃の事だった。外国との時間差がある商社は当時電話でのやり取りが主で、日本との時差で帰りが遅くなることが多かった。大して気にしてなかった帰りが、やがて11時になり、12時になり、そしてついに朝になってしまった。
 
 
 
10/09/05 21:54更新 / アンバー
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■作者メッセージ
えぇ〜!朝〜?ということは、ひょっとして・・・。

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まろやか投稿小説 Ver1.53c