連載小説
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初めての、結婚。
 あれから半年、相変わらず仕事に酷使される毎日だったが、学生時代からのバンド活動は細々と続けていた。仲間の結婚式、スキーツアー、テニスツアーなど仲間主催のイベントのみだった。
 当然メンバー全員社会人なので、練習なしのぶっつけ本番だ。レパートリーはだんだん少なくなったが、むしろうける曲には単純なものが多かった。
 ちなみにバンド名はLast Ten Minutes 僕が考えた、最期の10分がメッチャ盛り上がるという意味。僕はドラムス。
 そのころ毎年、北軽井沢のロアジール村というステージや幌馬車テントのある施設で、仲間内のコンサートを開いていた。サイドギター・ボーカルの鶴さん(鶴本)はなんと嫁さんと一緒に親友を連れてきた、名前は善子だ。
 門真市出身の彼女は勿論、こてこての大阪弁だ。西宮に小学校当時暮らしていた僕は、何か妙な親しみを感じていた。「なんか、いけそうな気がする〜!」
当然、帰り道は僕の運転するトライアンフをオープンにして送っていったのは、言うまでもない。美智子のおかげで女の子の扱いには慣れていたからだ。
 それからの彼女への猛烈なアタックは自分でもあきれ返るほどだった。電話、手紙、大阪弁のカセットテープ、そしてついにその時が来た。
 鶴さんの家に泊まりに行くことに、当然彼女もお泊りの事前確認済みだ。しっかりお酒を飲んだ2人がどうなったかは、大人ならたやすく想像できるはず。
 半年のブランクがあったものの、「女なんか、もう絶対信用しない!」という自分への戒めはすっかりどこかに飛んでいってしまっていた。それからの週末はどちらかが必ず長距離移動をすることで、夢の恋愛時代を過ごした。
 やがて、2人は当然のように結婚へと進んだ。ちょっと「縁起」も気もしたが、やはり兄貴と同じ京王プラザで結婚式は行われた。
 その後、笹塚に新築マンションを買い、順風万班な結婚生活をおくっていたが、まさかあの時気になった縁起の悪さが実際のものになろうとは・・・。
10/09/05 14:48更新 / アンバー
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■作者メッセージ
何でまた、こうなるの!

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まろやか投稿小説 Ver1.53c