連載小説
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人生、チャレンジじゃ。
 そんな、まゆみと付き合う前に、僕は依子に挑戦していた。高卒の依子はまゆみより更に1つ下だが、すでに1年前に入社していた。少し暗くてツッパリの依子は、今まで付き合ったことのないタイプの目立たない子だったからだ。
 小柄な彼女は、やはり胸も小さいがそこは我慢だ。日々徐々に口説いていったが、今1つ決め手に欠く。
 その日も、僕は部内のあるパーティーの幹事をしていた。
 その頃の僕は「宴会部長」と言われ、歓送迎会から結婚式の司会や2次会をはじめ、あらゆるパーティーを仕切っていた。持ち前のマメでアイデアマンの面白い企画の数々は常にみんなにバカうけだった。
 みんなと輪を持たない依子は、意地悪にもなんと大事なこの日に挑戦状を突き付けてきた。「今日ならいいよ、デートしてあげても・・・」、最低の女だ。
 最初のきっかけは、たとえ親が死んでも行かなくてはならない!鉄則を曲げるわけにはいかない。親ならぬ、おバーちゃんが死んだ事にして、そのパーティーは細川さんに急遽お願いして、僕は依子と初めてのデートをした。
 ちょっとは期待したが、ひねくれ者の依子もベットの上ではただの女と変わりはなかった。とりあえずで、まっ、いいかっ!さらに恥ずかしい事に、近くのラブホテルなのに、西武の社員証まで忘れてきてしまったのだ。
 当初の挑戦目標を達成した僕はいつもの様に、時間を掛けながらゆっくり身を引いていった。何故って?そうすれば、女性が傷つかない。本当は、悪い印象が残らず、またいつか会える機会があるかも知れない、ただのスケベ根性からだ。
 案の定、依子とは四半世紀後に電話があり、池袋で再開し、「あの時は若かった。あの時Oさんを選んでいれば・・・」と言われたが、冗談じゃない。
 今、不幸な女への安易なちょっかいは、後で必ず命取りになるからだ。くわばら、くわばら・・・
 その頃僕たちはパーティー集団、「SANTE CLUB]を作った。毎週末(定休日前日)、メンバーが集まって飲み会をしていた。今、考えれば結構ひどいメンツが揃っていた。はたしてそのメンバーとは・・・
10/09/13 15:45更新 / アンバー
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■作者メッセージ
鬼畜クラブか?

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まろやか投稿小説 Ver1.53c